インタビューに何ができるのか
インタビュアーの職能とされる
「見る、聞く、まとめる」
これらは、取材に関わらずあらゆるビジネススキルに通じると言われています。
インタビュアーが駆使する、もしくは必要とされる能力8つと、それを活かせる仕事をまとめました。
1.情報を見て聞いて整理する力
多くの人が抱くインタビュー=取材のイメージ。ただ、聞きたいことを聞くのと、相手の話したいことを聴くのは似て非なるものです。もちろんインタビュースキルを用いた取材は可能です。
職業:記者、ライター
2.対人観察力
面接は英語でインタビュー。どんな人材を採るべきか、否か。インタビュアーの優れた対人観察力と質問で、採るべき人材、そして採ってはいけない人材(ここ重要)を見分けます。
職業:面接官、人事担当、諜報員、探偵
3.課題解決力
ものづくりにおいて、「見る」「聴く」ことの重要性を説いたインタビュー記事があります。
熊谷昌典さん(バット職人)「もうひとりの野球選手、バット職人誕生秘話」インタビュー
野本公敬さん(和竿師、旭信四代目)「覚悟は磨かれるもの」インタビュー
職業:職人
4.課題発見力
インタビュー(観察すること)の対象は人だけではありません。空間インタビュアーとして、空間に対して、足りないもの・もっとあった方がいいもの・要らないものを問いを立てアプローチしていきます。
職業:環境建築家、インテリアデザイナー
5.傾聴能力
インタビューはtoではなくwith。話し手と聴き手、双方向性を持つものです。相手の話したいことに、一緒に思い出す姿勢で臨むことができます。
職業:カウンセラー、傾聴者
6.俯瞰力と対応力
多様な意見が集まる場所での、均等な発言機会の割り振り、不公平のないまとめ。『王様のブランチ』でみられたゲストへの絶妙なタイミングでの切り返しが光る鈴木あきえさんは、最高のインタビュアーのひとりだと思っています。
職業:交渉人、司会者、モデレーター、プロデューサー、ディレクター
7.洞察力
ホームズ「きみも、見てはいるのだが、観察をしないのだよ。見るのと観察するのではすっかりちがう。
たとえば、きみも、玄関からこの部屋へあがる階段は、なんども見ているだろう?」
ワトソン「見ているよ」
ホームズ「なんどぐらい見たかね」
ワトソン「そうだな、ほぼ数百回は見ているだろう」
ホームズ「では、なん段ある?」
ワトソン「なん段だって!知らないよ」
ホームズ「そら、見たまえ。観察しないからだ。しかも見るだけは見ているのだ。ぼくがいいたいのはそこなんだよ。
いいかい、ぼくは十七段あると知っている。それは見ると同時に観察しているからだ。」
(創元推理文庫版『シャーロックホームズの冒険』/ボヘミアの醜聞』p12-13阿部知二訳より)
職業:シャーロックホームズ
8.iの力
対象との間に立って観察する、インタビュー能力を、ここでは「iの力」と定義しています。
「iの力」とは、
interview相互に見合う
insight 洞察
improvisation 即興性
intelligence知性
imagine想像
interest興味を持つ
imitate模倣する
力のことです。
職業:すべての職業
第一人者は「iの力」を駆使する最高のインタビュアー
インタビュースキルはインタビュアーだけのものではありません。
その業界における第一人者は最高のインタビュアーでもあります。
ここに挙げた以外のどんな仕事でも「iの力」は必要不可欠で、それぞれの技能にプラスして、より仕事を前に進めることができます。
イラスト:tech-pic.com