(折田民男/折りたたみ生活研究家)
むかし、家の中の残されたスペース「押し入れ」で書斎・ワークスペース的な空間を構築したことがあります。
コロナウイルス対策として、テレワークや在宅ワークが広がりつつありますが、家の中で集中して作業できる場所の確保に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。部屋は急に増えませんし。
残念ながら一般的な日本の、特に東京の住宅事情では、仕事のための一部屋を確保することは、贅沢の分類に入ってしまいます。
ところが。
もし押入れさえ確保できれば、専用のワークスペース、ライブラリーは今の状態で作ることができるかもしれません。
ということで、実際に押入れ書斎を作った際に購入した製品と、やってみて失敗した点・改善点についてまとめてみました。
まずはじめに用意したものは、本棚。一冊では軽い文庫本も、集まれば意外と重たくなります。収納しても板がたわまない耐荷重に余裕のある頑丈なものを選ぶとよいでしょう。自分は一度ケチって安いものを購入したら、1ヶ月くらいで板がたわんで、U字のようになってしまいました。棚板の耐荷重、要チェックです。
(間口一間の押入れの場合※サイズ要確認)
文庫用本棚×4(前面2、左右1ずつ)
キャスター付き文庫本棚×5(下の段に収容する用)
アイリスオーヤマ 収納カート SYR-7520 ナチュラル(1コ入)
次に天井に取り付けたLED式レール照明(電球は熱を持つので危ないです)。スタンドライトと併用してもいいかと思います。
そしてデスクマット。これ大事です!(中板にしくスチール製のもの。机の天板に該当)
レール照明とこれはIKEAで購入しました。押し入れの中板は通常ベニヤむき出しっぽい感じなので、しっかりとした天板を置いてはじめて机になります。
参考 IKEAのデスクパッドIKEAオンラインそして椅子。僕はこれで一度失敗しました。後ほど詳述しますが、差尺も関係してくるので非常に重要です。押入れの中板の高さが70cm以上ある場合は、座面高が高めに調整できるタイプがいいです。
またイスの上であぐらがかける、片足上げて座れるかも大事なポイント。それらをすべて満たしたおすすめの椅子がこちら。
椅子としての性能と、座高面が比較的高く設定できることが両立できている椅子は意外に少ないものです。
以前、座面高が高くできる製図用の椅子や、バーカウンターに置いてあるような座面高めのスツールなど、いろいろ試してみましたが、長時間の作業にはとても耐えられませんでした。
椅子以外の予算はざっと三万円以下。半日もあればできます。
写真には写っていませんが、下の閉架式収納本棚を合わせると、だいたい文庫本1000冊に大型本100冊、DVD100巻くらいはなんとかなります。
押し入れ書斎を作ってみてわかった(失敗した)のは、「椅子が一番大事」だということ。
押入れの中板(中段)が少し高めの場合、注意が必要です。
押入れ書斎に限らず、普通の机にしろテーブルにしろ、座る姿勢は超重要です。合っていないと長く座れないし、体の不調の原因にもなります。なんかしっくりこないなぁと思ったら、大抵の原因は椅子。
家具職人をしている友人によると、机に向かう時の理想の姿勢は、座った時に腕と肘が机に向かって自然な状態で水平になっていることらしいです。
そして、「差尺」と「座面高」を知ること。
差尺は、机の天板と座った時の足との間に生じる幅。
座面高は、座った時の椅子の高さ。
・差尺
座高÷3−2〜3cm
・座面高
天板の高さ−差尺
例えば、天板の高さが70cmで、座高が90cmあった場合、少なくとも座面高が42〜3cm取れるものが理想です。
日本の机の高さはだいたい170cm前後の成人男性の使用を想定して70cmで作られていて、椅子もそれに合わせて座面高が設定されているので、それより少し高めの位置に中板がある場合、もう少し座面高を高く設定できるものが望ましいことになります。
押入れの中板の高さによりますが、例えば中板の高さが75cmで、座高が90cmだとしたら、座面高は約50cmまで上げられるものを選ぶ必要があります。
一時期、一般的な椅子よりも座面高を高くできる製図用のものを買って使ってみましたが、座り心地としてはイマイチでした。
在宅の割合が多い仕事をしていて思うのは、椅子は本当に良いものを選んだ方が良いなということ。本棚後回しにしてでも、まず最初に椅子にお金かけるべきとすら思えるくらい大事です。
↓押し入れ書斎を作るきっかけになった本。プロによる空間構築術の本。
IKEAの商品って、北欧基準の大型家具というイメージがありましたが、日本の住環境に寄り添ってくれそうな、「限られた空間の最大活用」である折りたたみ生活と非常に親和性の高いものが多いんですね。
この本も、自分にとって「知的生活の方法〜実践版〜」といった感じになりました。いいですよ。
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